なぜ、商標を取るのか?
商品名やサービス名、ブランドネーム、ロゴマークなどの商標は、ライバル商品があふれる中から自社商品をお客様に選んでもらうための目印になるだけでなく、自社商品ひいては自社の信用を背負うものです。
さらに、インターネット時代においては、SEO対策の上でもネーミングを独占できるかどうかがマーケティングの成否に関わるようになっています。
また、今や多くの分野で商品やサービスの性能や品質には大差がない時代ですから、選んでもらうには、まず「ネーミングで勝負」です。しかし、「良い商標」≒「売れる商標」はすぐにネットで拡がって同業者が使い始めますから、あとは広告宣伝費の勝負になってしまいます。
もし「良い商標」を登録できればネットを抑えられますから、マーケティングの強力な武器になるのです。一方、自社が先に良い商品を販売したのに、ライバル社が似たような商品名で「安かろう悪かろう」の商品を売り出すと、自社の商品の信用まで下がってしまいます。
また、ライバルに商品名を商標登録されてしまうと、ある日突然「警告書」が届いて泣く泣く商品名を変えざるを得なくなるかも知れません。先に商標権を取っておけば、こういうリスクも回避できます。
その意味で商標権は、ビジネスの「保険」でもあるのです。
どんな場合に出願すべきか?
自社にとって重要な新商品・新サービスなら、発表前・発売前に商標登録出願を検討するべきです。
商品やサービスがヒットした頃には、ネット上には同じかよく似たネーミングの類似品が溢れ、自社の商品はその中に埋もれてしまっているおそれがあり、そうなった場合には、もはや商標権が取れない場合が多いのです。また、個々の商品やサービスの上位に位置付けられるブランド名の場合は、商標登録は必須といえます。長期間安定的にネーミングを使用してこそ「ブランド」になるからです。また、百貨店や通販会社などの大手流通業に自社商品を扱ってもらう場合には、事前に商標登録しておくことが信用面で重要となります。
なお、新商品のネーミング案を考えたら、最終決定する前に必ず商標調査を行い、他社の商標権に抵触していないかどうか確認するべきです。大量にパッケージを印刷したり広告宣伝を打ってしまってから商標権侵害が分かったら、大きな損害が生じかねません。
商標調査は、特許庁のウェブサイト(JPlatPat)で誰でも無料でできますが、指定すべき商品やサービスの分類や商標の類似関係の判断には専門的な知識や経験が必要な場合もありますので、ぜひ弊所にご相談下さい。
出願から権利取得の流れ
商標権を取得するには、出願書類を作成して特許庁に出願します。
出願から権利取得までの流れは概ね下の図のとおりです。
●商標登録出願は、出願日から2~3週間ですべて「出願公開」されます。
●出願審査請求は不要で、出願順に審査されます。
●出願から審査結果の通知までは5~6カ月程度です。
●審査の結果が「登録査定」の場合、登録料(10年分)を納付することで商標権が取得できます。
●特許権や意匠権とは異なり、商標権は10年毎に「更新登録申請」をすることで、半永久的に権利を維持することができます。